生産計画への取り組み
在庫削減活動は、どこの企業でも取り組んでいる項目だ。
製造している物が、100%カスタム品であればなおさらの事だろうと思う。
在庫を大別すると 原料在庫 仕掛在庫 完成品在庫に別けられるが、やはり在庫削減の活動効果の大きいのは、完成品在庫に近いもの、ということになる。
在庫削減への取り組み
さて、多くの方は、トップから号令がかかると、 基準日程を短縮くしたり、流動の単位量を小さくしたり、 はたまた「JUST IN TIME」とか云って工程間の滞留在庫をなくしたりと、いろいろの手をつくしているだろう。
しかし、よく考えてみると製造技術が向上しなければ、 本当の意味での在庫削減にはなかなか至らないのも事実だ。
今回は上記とは少し違ったアプローチで取り組んだ事例を紹介しよう。
生産計画
あなたは 「どんな物にもバラツキがある」と云うことはご存知だと思う。
そのバラツキの考え方を、生産計画の中に取り入れていくことができる。
言い替えると、2シグマ法を活用すると云う事。
ではここから、100%カスタム製品製造を前提とした活動例題で話しを進めよう。
(リピートオーダーがほとんど無く、有ったとしても数ヶ月に一度位で不定期)
通常、生産計画は、各製造プロセスの収率の積。
いわゆるトータル歩留を加味して原料投入計画が出来てくる。
しかも、その適用したトータル歩留が平均値だった場合、50%の確立で送品数が不足する事になるため、 計画担当者はなんらかの方法で低目の歩留設定をし送品時に異常が発生しない様に計画しているのが大半であると思う。
これは、結果的に「トータル平均歩留り-3シグマ」 以上の調整をしていることになっているわけだ。
この状況がずっと続いていくと、送品後の余り品が、売れ残り在庫として溜まって行くことになり、在庫削減どころではなくなってしまう。
2シグマ法のメリット・デメリット
そこで、上記の算式に「2シグマ」を代入して生産計画を立てることにする。
こうすることによって、「1シグマ」分の計画歩留りは向上し、原料投入計画数は減少する。
しかし、同時に送品時に数量不足の発生する確率が約5%出てくるわけだ。
この活動の鍵は、いかに社員一丸となって、正確な生産計画をたて、数量不足の可能性を減らすかにかかっている。
しかし、当然、失敗した場合は、お客様にご迷惑をかける可能性も出てくる。
だから、もしこの活動期間中に数量不足が発生し「お客さん」になんらかの
対応をしなければならなくなった場合は、この活動の総元締めである部長が
誠意を持って当たる様にルールつくりをしておくことになる。
結論からいうと、この活動を一年間続けた結果、私は一度もお客さんに謝りに行くことはなかったし、在庫数量も確実に削減できた。
生産計画 成功のカギ
この活動の成功のカギは、以下であったと思う。
- 活動で一番いやな事を活動の総元締めが買って出た事
- 製造単位の歩留りが確実にフォローアップされ2週間に1度生産計画に反映させるルールがある事
- 「目標管理値を達成するための管理図」が定着していた事。
- 上司と部下の間に信頼関係があったから、「自分達の親分がお客さんの所に行って頭を下げる姿を見たくない」と云った意識がはたらいた事。
生産計画は、トップを含めた社員が一丸となることで改善できるのである。