無反射コーティングとは
ガラス、サファイアなど透明ですが、ガラスに蛍光灯や自分の顔が映ることがあります。それは光がガラスを通過する際に、表裏界面にて各4%ほどの光が反射しているため起こる現象です。
つまり光がガラスを通過する場合、100%の光が92%に減衰してしまうのです。
反射を防ぐため、真空蒸着やスパッタリングなどの方法を用いて、界面に薄膜を コーティングします。
これを無反射コ-ティング(反射防止膜:ARコーティング [Anti Reflection Coating] )と言います。
サファイアの無反射コーティング方法
単結晶サファイアは無色透明で、紫外領域から赤外領域まで連続して光を透過する特性(光透過性)を持っています。
サファイア | 石英ガラス | |
透過率 | 2.1~6.6nm帯域 60%以上 3.4~5.2nm帯域 80%以上 | |
屈折率 | No=1.768 Ne=1.760 (λ=590nm) | 1.459 (λ=590nm) |
ダイヤモンドは屈折率が約2.42。単結晶サファイアや他の宝石と比べても高い屈折率です。屈折率が高いほど反射が大きくなります。
ダイヤモンドや宝石であれば反射が大きい=キラキラするためよいのですが、時計の風防や工業用ガラスの用途の場合、無反射コーディングを行い反射を極力抑える必要があります。
無反射コ-ティングの蒸着材としては、フッ化マグネシウム(MgF2)が広く使われており、 単層膜や多層膜としてコ-ティングされます。
ガラスの片面のみか両面、いずれかに無反射コーティングを施します。
両面多層膜の場合は光の反射を1%以下に抑えることも可能です。
無反射ガラスと無反射コーティングをしたサファイアガラスの違い
無反射ガラス(反射防止ガラス)とは、ガラスの表面に細かく凹凸をつけることによって反射をほぼ低減したガラスです。
美術館の展示ケースや絵画の額縁、カメラの接写用ガラスなど密着して利用するものに無反射ガラスは使われます。
一方で無反射コーティングを施したガラスは反射を減らした低減ガラスと呼ばれます。
一般的なガラスでも無反射コーティングを施しているガラスは存在していますが、サファイアガラスとの大きな違いはそもそものガラスの光学的特性にあります。
サファイアガラスは、紫外光から赤外光の広領域での透明度の高さ(光透過性)があり、耐摩耗性、耐熱性ともあいまって、各種実験装置など極環境での窓材、また偏光性や複屈折特性を利用したフィルター等にも使われています。
時計の風防で活躍するサファイアの無反射コーティング
時計の文字盤が、角度によって光の反射で見えなくなるのは困ります。
高級時計の風防で使われているサファイアは、片面もしくは両面に無反射コーティングが施されています。
そのため光の反射が抑えられて、文字盤が見えやすくなっているのです。
「クラリティ・コーティング」は、サファイアガラスの両面にシリコン化合物を無反射コーティングを施し、さらに表面には撥水膜を付加することにより、約99%の透過率を実現した、シチズンが開発した無反射コーティングの技術です。
また「スーパークリア・コーティング」は、同じような技術によりセイコーが開発した無反射コーティングです。
サファイアの無反射コーティングは、時計の風防だけでなく、光の反射が原因で誤作動を起こしやすいセンサ-による読み取り用ガラスや通信機器等でも活躍しています。
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国内時計メーカーのみならず海外時計メーカーにも、時計の風防としてサファイア加工を長年提供してきた二光光学では、サファイア加工・形成・研磨から無反射コーティングに至るまで、お客様のご希望・課題をともに考え、ご要望にあったサファイアをご提供しています。
サファイアガラスの加工をご希望の方や、既存素材でお困りの方はお気軽にご相談ください。