宝石としても有名な美しく硬いサファイア。 そのサファイアを人工的に巨大結晶に成長させたものがサファイアガラス(単結晶サファイア)です。 宝石としてのサファイアは多くの方がご存知でしょうが、 工業材料としてはまだまだマイナーな存在 です。

このページでは、40年以上サファイガラスに特化し、大手時計メーカーや自動車メーカーなどの高度な加工のご要望にお答えしてきた弊社が、サフィアガラスの特長と相場についてお伝えします。

サファイアガラスの特徴

サファイアガラスは無色透明の結晶体で、非常に硬い・熱に強い、薬品にも溶けないなどの優れた性質により、いろいろな産業分野を陰から支え、信号機から半導体産業、航空宇宙の分野まで幅広く使われています。

サファイアガラスは、一般的なガラスやアクリルなどに比べて特に下記に優れています。 

  • 熱電導性
  • 絶縁性
  • 耐薬品性
  • 耐熱性
  • 対磨耗性

その材料特性をいかし、下記の用途でよく利用されています。

  • 強化ガラスや耐熱ガラスの代替品
  • 耐熱、耐圧が必要なアクリル・ポリカーボネートの代替品
  • 光学窓などのレンズ
  • iPhoneなどのカバーガラス
  • 時計のカバーガラス

イメージよりも価格が安いことが多く、研磨することによって、理想的な平滑度・面精度が得られます。 価格について詳しくはサファイアガラスの相場をご覧ください。

サファイアガラスの硬度

サファイアガラスの硬度は22.5 Gpa (HV1(荷重=9.807N)。hv換算で約2300 です。

これは材料の中ではダイアモンドに次ぎセラミックとほぼ同等の硬度で、強化ガラスと比べても4倍近い硬度となります。 

価格相場

サファイアガラスを工業利用する場合、材料費と加工費がかかります。
したがってサファイアガラスの相場は「最終的なご要望によって値段が変わる」とお考えください。

その前提の上で、弊社でよくあるケースとして、参考価格をお伝えすると、試作品1枚で1万円〜2万円程度になることが多いです。量産する場合は1枚数百円という価格になることも珍しくありません。

宝石のサファイアを連想されていた方は随分お安い印象を持たれるのではないかと思いますが、弊社は長年の経験から保有している専用機具が多いため、比較的安価でのご対応が可能で、喜ばれております。

価格について詳しくは、本ウェブサイト内の「無料サンプル・価格」のページをご覧ください。

サファイアガラスの価格の理由

サファイアガラスは、同じ様な透明体であるアクリル・ポリカーボネートなどの樹脂系や一般的なガラスに比べ、価格は高価です。 これは、サファイア原石が2,000℃を越す超高温でなければ作れないこと、大きな原石を作る事が非常に難しいこと、また、加工はすべてダイヤモンド工具を使った削りだしに限られる事などがあるからです。

 しかしながら、硬い・熱にも薬品にも強いというサファイアガラスのメリットは価格差以上に必ずあるため、様々な工業製品で利用されています。 

透明材料をお使いで、キズがつく、割れてしまう、溶けてしまう、薄くしたいなどお困りのさいは是非ご相談ください。数量を問わず対応させていただきます。

サファイアガラスのスペック

サファイアガラスのスペック(物理特性)

  サファイア 石英
結晶系 菱面体タイ晶系 (一般には六方晶系)  
格子定数 a=4.763Å c=13.003Å  
密度 3.98 g/cm3 2.20 g/cm3
硬度(ビッカース) 22.5 Gpa (HV1(荷重=9.807N) 8.9 Gpa 
硬度(ヌープ) 15.0~16.3 GPa (⊥C)  
16.4~19.6 GPa (//C)  
硬度(モース) 9 (ダイヤモンド:10 石英:7) 7 (ダイヤモンド:10 サファイア:9)
(修正モース) 12 (ダイヤモンド:15 cBN:14 SiC:13) 7 (ダイヤ:15 cBN:14 SiC:13 サファイア:12)
曲げ強度キョウド 690 MPa 94.3 MPa
引張強度 2250 MPa  49 MPa 
圧縮強度 2950 MPa  1130 MPa 
ヤング率 420 GPa (⊥C) 74 Gpa
470 GPa (//C)  
ポアソン比 0.32 (⊥C/⊥C) 0.18
0.15 (//C/⊥C)  
0.17 (//C///C)  
体積弾性率 250 GPa   
ずれ弾性率 70 GPa (⊥C.//C)  
80 GPa (⊥C.⊥C)  
溶融点 2053 ℃ 1720 ℃
熱伝導率 42 w/m・k  (20℃) 1.38 w/m・k  (20℃)
25 w/m・k  (100℃) 1.93 w/m・k  (500℃)
熱膨張率 //C52 × 10-7/℃(50℃) 4.7 × 10-7/℃(50℃)
//C83 × 10-7/℃(500℃)  
//C89 × 10-7/℃(1000℃)  
⊥C68 × 10-7/℃(50℃)  
⊥C90 × 10-7/℃(500℃)  
⊥C98 × 10-7/℃(1000℃)  
比熱 750 J/(kg・℃) (25℃) 749J/(kg・℃) (20℃)
輻射率 0.02以下 (λ=2.6~3.7μm  880℃)  
熱容量 78.25 J/mol・℃ (20℃)  
125.41J/mol・℃ (1000℃)  

サファイアガラスの放射率

材料の放射率は、素材特性だけでなく、温度と表面状態の影響を大きく受けます。まずはサンプルなどでお試し頂くことをオススメ致します。

サファイアの光学特性

  サファイア 石英
透過率 2.1~6.6nm帯域 60%以上  
3.4~5.2nm帯域 80%以上  
屈折率 No=1.768  Ne=1.760  (λ=590nm) 1.459  (λ=590nm)

サファイアの透過性 

純度の高いサファイアガラスは無色透明で、紫外から赤外まで連続して光を透過する性質を持ちます。赤外光を利用するような光学窓にも有効です。

また近年は大きな単結晶サファイアを制作する技術も飛躍的に伸びており、「はやぶさ2」のリターンサンプルを分析・保管する試料容器にもサファイアが用いられています。

サファイアの反射率

サファイアはその屈折率の高さから、光の反射が大きいです。サファイアガラスと空気の境界線では入射高の約8%の反射(視感反射率)があり、表裏では16%の反射となります。反射を抑えるために、無反射コーティングを行うことがよくあります。

サファイアの電気特性

  サファイア 石英
絶縁耐力 480 kV/cm  (60Hz)  
電気抵抗 1014 Ω・cm(25℃) 1017 Ω・cm(25℃)
1011 Ω・cm(500℃)  
108 Ω・cm(1000℃)  
104 Ω・cm(1500℃)  
誘電率 11.5  (1MHz //C)  3.9  (500MHz)
9.3  (1MHz ⊥C)  
誘電損失 10-4 以下 10-3 以下

サファイアの化学特性(耐食性)

  サファイア 石英
溶媒 濃度(%) 温度(℃) 浸漬時間(h) 減量(g/㎡) 濃度(%) 温度(℃) 浸漬時間(h) 減量(g/㎡)
塩酸 HCl 35 20 144 0 37 20 240 0.18
硝酸 HNO3 50 20 144 0 65 20 240 0.06
硫酸 H2SO4 95 100 144 0 98 205 24 0.06
燐酸 H3PO4 60 100 144 0        
苛性ソーダ NaOH 30 100 144 0 5 100 10 15
フッ化水素 HF 46 60 144 3.04        

サファイアガラスの熱衝撃特性

サファイアは熱衝撃にはそれほど強くないことが知られています。弊社も材料を購入させて頂くことのある信光社さんの実験では、c面φ50×3t(mm)での熱衝撃試験として、熱した試料を10℃の水に投入する試験を実施したところ、200℃まではクラックが入らないが250℃に熱した試料ではクラックの発生が見られたそうです。

お気軽にご相談ください

40年以上サファイガラスに特化し、大手時計メーカーや自動車メーカーなどの高度な加工のご要望にお答えしてきた二光光学では、お客様のご希望・課題をともに考え、ご要望にあったサファイアをご提供しています。

サファイアガラスの加工をご希望の方や、既存素材でお困りの方は、無料サンプルを事前にお送りすることもできますのでお気軽にご相談ください。