高級ブランド時計で多く使われるサファイアガラス

二光光学が腕時計用カバーガラスにサファイアガラスを加工し、 S社に供給し始めてからおよそ40年。
ある程度の量のサファイアガラスが、高級腕時計の風防に使用され始めたのもこの頃であったと思います。

時計とサファイアガラスの歴史

そもそも腕時計用カバーガラスの変遷は、1970年代までは、腕時計用カバーガラスと言えば、プラスチック製がほとんどでした。
キズがついて見づらくなると時計屋さんに行き、カバーガラスを取り替えてもらっては使用していました。

1970年代には、プラスチックから無機ガラス(ミネラルガラス)に置き替えられていき、腕時計使用時のカバー ガラスへのキズの入り方は雲泥の差をみました。
時計のカバーガラスとしては、キズがつきづらいものが世の中に受け入れられた証でしょう。

そして1980年代頃には、キズがつきにくく衝撃にも強いサファイアガラスが、高級腕時計の風防として使われ始めました。二光光学がサファイアのカバーガラス生産に転化したのもちょうどこの頃です。

サファイアガラスは、「ダイヤモンドに次ぐ高強度・高硬度をもち、耐摩耗性も高いためキズがつきにくい」「透明度(光透過性)が高い」という他のガラスにはない強みを持っています。

一方で硬度が高いため加工には技術が必要です。
時計のサファイアガラスの加工では、無反射コーティングや形状加工(平面加工・ドーム型加工など)を施します。

そのため時計のサファイアガラスは、高級腕時計に採用されることが多く、時計の価格も高めです。

サファイアガラスの高級腕時計からの適用の流れはありますが、1990年代に入ると、高級嗜好品へのニーズが高まりスイスを中心とした時計業界は大きく躍進していきます。

1990年代以降、老舗時計メーカーだけでなく、ファッションブランドやジュエリーメーカーなどの時計業界の新規参入もあり、トータルファッションの中の腕時計と言う位置づけで、多数の腕時計を所持し、 その時の衣装や気分に合わせた腕時計を着けたい、という動きがありました。

また多くの時計ブランドが増えたことで、活動的な高校生の腕時計から、「カバーガラスのキズの問題を解消しよう」といった動きやこだわりも出てきたのです。
そこにダイヤモンドに次ぐ硬さと強度を誇る「サファイアガラス」が選択肢として入ってくるようになり、時計ブランドによっては比較的安い価格で提供されるようになりました。

サファイアガラスは、「宝石感の響きを漂わせている」、「硬度が高くキズがつきにくく、しかも強度がある」という理由により、広いジェネレーションで評価され、時計ブランドのサファイアガラスの適用幅は急速に拡がっています。

今では、腕時計ブランドではかなりの幅のグレード品に、サファイアガラスを採用したモデルが増えています。
Apple Watchもサファイアガラスを採用しているモデルが登場しています。

時計カバーガラスでよく使用されるガラスとサファイアの違い

サファイアガラスとゴリラガラスの違い

スマートフォンやタブレットのディスプレイに多く採用されているゴリラガラス。
ゴリラガラスはコーニング社が開発した強化ガラスの一種です。

ゴリラガラスは高い透明度と強度を備えていますが、鉱物に対する硬さの尺度であるモース硬度は、サファイアは9、ゴリラガラスは5です。

一般的な腕時計のカバーガラスとして採用されることは少ないゴリラガラスですが、サファイアに比べて安価なため、近年ではスマートウォッチやウェアラブル端末でも使われています。

サファイアガラスとミネラルガラス(無機ガラス)の違い

ミネラルガラスは一般的な時計カバーガラスで多く使われています。

ミネラルガラスは無機ガラスともいい、特殊強化加工処理したものを時計ブランドによって「ハードレックス」「クリスタルガラス」などと呼んでいます。

透明度が高いミネラルガラスですが、モース硬度は5~7程度でサファイアガラスと比較すると強度はあまり高くありません。
そのためミネラルガラスは加工がしやすく、比較的安い時計で使用されています。

サファイアガラスとアクリルガラスの違い

アクリルガラスは合成樹脂などで作られた有機ガラス、つまりプラスチックです。
時計カバーガラスでは「プラ風防」とも呼ばれています。

アクリルガラスはモース硬度が2とかなり低く、キズがつきやすく壊れやすいため、現在ではあまり多くのブランドで使用されることはありませんが、アンティーク時計として人気です。

アクリルガラスはとても軽い素材で加工がしやすいため、時計カバーガラスとしてドーム型が美しい形状になっています。衝撃に弱く割れやすいため、カーブをつけることで強度をあげる目的で、アクリルガラスはドーム型形状が多いのです。

サファイアガラスは非常に硬い素材ですが、高級腕時計ではドーム型モデルもあります。
優れた加工技術と工具が必要です。

お気軽にご相談ください

二光光学は、腕時計のカバーガラスをきっかけにサファイアガラスと出会い、今日に至るまでメイン事業としてサファイア加工を追及して参りました。
長年にわたり日本時計メーカーからスイス時計メーカーまで、時計のサファイアガラス加工をおこなってきた実績があります。

時計のサファイアガラス加工について、お客様のあらゆる問題・ご要望をともに考えてまいります。