海外事業の現地スタッフ人材育成の秘訣

海外事業を成功させるには何と云っても
現地の管理・監督者をいかに育てるか?
云いかえると、
「どんな方法で教育したら彼らが一人前になってくれるか?」
に掛かっている。

その教育方法の秘訣は「与える教育と考えさせる教育」を意識して使い分けることである。

与える教育・考えさせる教育

この事は、私が日本にいる時に思いついたことではなく、たまたまマレーシアに4年程赴任し、製造現場で現地人の教育に携わった時に
経験したことである。

話しを簡単に理解するために、先ず例題で見てみよう。

毎年4月1日から1週間良く町角で見られる、小学一年生の交通指導の姿を思い出して見よう。

子供が来ると「右、左、右。安全だったら!横断歩道を渡りなさい」と一週間やっている。 これが、私の云う「与える教育」である。

これに対して、4月4日目以降になると「どうやって交差点を渡るんだったっけねー?」
と子供に問いかけて、子供がちゃんと答えられたら、「やってごらん」と見守ってあげる。
これが「与える教育であり、考えさせる教育」である。

さて、上記を実際の現場で当てはめるフィーリングに触れてみよう。

海外のスタッフ育成

マレーシアの工場内では、なんと言っても日本人絶対の力関係にあるため
何か問題があると
「Mr.…・・どうしたら良いか?」」と答えを求めてくる。

これに対して始の何ヶ月かは(問題によっては1年になる事もある)自分の作成したサクセスストーリーに沿った答えを出してやり、見守ってやる。

このサクセスストーリーとは、いわゆる自分の行動の鏡の様なもの。
上の例で云うと交通安全のルール。

上記の見守りを続けるうちに、 「この問題なら彼らだけでも何とかなりそうだ」と云う「人物」に必ず出会う時が来る。

このチャンスを決して逃がしてはならない

問題の内容を聞きながら「君ならどんな方法で解決する?」と聞き返してやり
何らかの答えがあった場合、その妥当性を考えた上で、私もこの結果を知りたいから時々 話しに来てくれと云って返してやる。

こんな感じの繰り返しをして行くと、いつのまにかその当事者となった現地人が、監督者の素養を身につけて来た様子に遭遇する。

人材育成の基本は、万国共通なのである。

追伸:

チャンス到来時に「君ならどんな方法で解決する?」の問いに対して、現地人からなにも答えが返ってこない場合がある。
 
その時は「1時間後に話し合おう。それまでに解決策を考えて来てくれ」 と一度突き放す。あとは上記と同じ。

この様な人物は、つぎの時も同じ様な状況になりかねないから、次の手として、毎朝「昨日はどんな問題が有ったか?」の質問を”根気良く” 繰り返して行く。

昨日の問題がキャッチ出来てくればしめたもので、 あとは、私もそれに感心が有る旨の姿勢を示し、時々話し合うことにすればオーライである。

これも「考えさせる教育」の一端である。

もうあなたはお解りかと思うが、与える教育とは、「基礎力の醸成」であり 「基礎力の見極め」である。

考えさせる教育とは「応用力発揮/能力発揮」であり、「能力伸長」である。